■背景
がん細胞はそのがん化の過程で多くの体細胞遺伝子突然変異を蓄積しており、正常細胞に存在しないアミノ酸変異を伴うタンパク質を発現しています。細胞内のタンパク質はペプチドに分解された後、MHCクラスI分子に結合して細胞表面に提示され、T細胞受容体によって認識されます。このように疾患部位に特異的な体細胞遺伝子変異に基づくアミノ酸変異が起因する抗原決定部位をネオエピトープといい、もともと体内に存在しないペプチドであることから胸腺での免疫寛容の誘導がないため、ネオエピトープを標的とした強い免疫応答を誘導する治療が期待されています(図1)。
■原理 ネオエピトープ解析
個々人の疾患部位に蓄積された遺伝子変異をDNA シーケンス、また活性程度をRNAシーケンスで網羅的に解析し、新たに開発したバイオインフォマティクスソフトウェアを用いて絞り込みます。続いて、どのペプチド断片が個々人の MHCに対して最も親和性が高いかをソフトウエア上で計算します。最終的に数100万種類の遺伝子変異から絞りこまれた数10種類のペプチド断片が、完全個別化された新しいエピトープ、ネオエピトープとなります(図2)。
■用途例
・がん免疫療法への応用
樹状細胞療法などで用いられる「がんライセート」では、がん特異的変異部位ではないペプチドが多数含まれるため、変異タンパクを個々人の樹状細胞に取り込ませる効率性が良くありませんでした。また、自己タンパクを多数含んでいるため、免疫増強法を併用すると自己免疫疾患を誘発するリスクがありました。そのため、あらかじめ変異部位を含むネオエピトープペプチドのみを合成して樹状細胞に提示させ、ネオエピトープに特異的な反応に絞ることで、副作用を抑え、有効な治療効果を向上させることができることが期待できます。
・自己免疫疾患への応用
「がん組織」に限らず、体細胞変異に基づいたネオエピトープを網羅的に解析するため、自己免疫疾患患者における変異部位を特定することが可能となり、その原因と治療ターゲットを明らかにできる可能性があります。
サンプル種類 | 手術時に採取した「がん組織」 マージンとして採取した「正常組織」もしくは血液 |
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解析法 | 次世代シーケンサー、バイオインフォマティクスソフトウエア |
報告内容 | 納品書、解析報告書 ハードディスクドライブ(DNA、RNAシーケンスデータ、ネオエピトープ解析データ) |
目安納期 | 検体受け取り後2ヶ月 |
その他 | 該当項目: なし |
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